思い立ったが元日

omoituitara.jpgおもいついたらそのときに
西内 ミナミ にしまき かやこ

こぐま社 1983-11
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睦月である。
私も世間の例にならって、年の初めにはこの一年の目標を立て、手帳や日記に記す。
が、およそその目標が年内に達成されたためしがない。
達成どころか、その課題に着手すらしないまま年を越すのが常だったりする。
思うに、何事もお尻に火がつかないと動かないスーパーヘビー級の腰を持つ私にとっては、
年初の1月に目標を立てるのは時間的に余裕がありすぎるのだろう。
いっそ「一年の計は師走にあり」として、12月1日にその年の達成目標を思い起こし、
残る1ヶ月死ぬ気で取り組んで過ごす・・という方が、案外成果を残せるかも知れぬ。
 

さて、今日の絵本の主人公のおばあさんも、私とは違う意味で一年の計とは無縁の人である。
何故なら彼女は目標を立てるまでもなく、思いつきをその都度その場で実行してしまうからである。
恐るべき行動力。恐るべき無計画人生。その無謀さは清々しいほどで、
実在していれば間違いなくプロジェクトXで特番をはれる大物になっていただろう。
あれよあれよと大胆な事業展開を進めるばあさん・エンタープライズ
いったいこの独居老人のどこにそんな資金力があるのかと突っ込みたくなるが、
そこはもちろん、読者のコドモには明かせない裏の顔が彼女にはあって、
1億や2億のはした金なんぞ、電話1本でどうにでもなるに違いない。
私もこんなカッコイイ老人になりたいものだ。
いや、その前にこんな老人と是非懇意になりたいものである。
 

結局、世の中がどんなに不況になろうと金はあるところにはあるのである。
巨額の財も貯め込むばかりでは遺族の相続争い・経済の動脈硬化のもと。ロクなことはない。
てなわけで、これからの時代は、是非ともシニア富裕層の皆さんに
「おもいついたら そのときに!」をスローガンに掲げていただき、
明るい日本経済のために人生ラストステージならではの無謀で豪快な無駄遣いをジャンジャンしてもらおうではないか。
人生の目標に悩む若者に素で「うわ、すげー!(無謀!)」と思われてこそ、
失われつつある敬老の精神も復活するというものだ。