愛される過食症

manmaru.jpgまんまるろびん
ジャック・ケント
ペンタン 1985-09


by G-Tools
自慢じゃないが、私はここ10年近く、ほぼ毎月
いや毎週ぐらいの頻度で「明日からダイエット」宣言を
している。明日からというところがミソだ。
ということは、それだけ長いこと毎月もしくは毎週
ダイエットに失敗しているということである。

我ながら往生際が悪い。いいかげん諦めたらどうなのか。
そうまでしてダイエットしてしまうのは、やはり現状の自分を
肯定できず、ありのままでいられないからなのだろう。

この絵本の主人公「まんまるろびん」は、その名の通り
ボールのようにまんまるに太った小鳥である。
生まれたときは小さくてやせっぽちだったろびんは
気持ちいいほどの食べっぷりでパクパクと食べまくり、
もう小鳥には見えないほど太ってしまう。体が重すぎて
飛べない彼は、枝から枝への飛び回る仲間を後目に、ひとり
ピョンピョンちょんちょんと跳ねて歩く。
やがて冬が来て、仲間の鳥たちは南の島へ飛び立ってしまう。
まんまるろびんも、彼なりに南の島へ出発する。といっても
彼らしくいつものようにピョンピョン跳んでは食べ食べ
マイペースに進み、あっという間に冬が来て、雪に埋もれる
雪に埋もれながらも懸命に歩き続けるろびんの姿がカワイイ
やらおかしいやら。
雪に覆われた道中には食べ物もなく、ただひたすら進むうちに
気が付くとすっかり痩せて空を飛べるようになったろびんは、
意気揚々と羽を広げ、休まず飛んで仲間(と食べ物)の待つ
南の島に辿り着く。そして早速今までの絶食生活を取り返す
かのようにパクパクもりもり食べて、見事にリバウンド
ここで私ならいつものように自己嫌悪で深く凹むところだが
ろびんは平然と、むしろ堂々としていて満足げだ。
好きなように食べ、好きなこと(食べること)だけを考え、
それ以外のことには頓着しない幸せな生き方を体現している。
仲間の小鳥たちもそんなまんまるろびんの生き様を淡々と受け入れ、
当たり前に接しているのがいい。
淡々とありのままの自分で生きているまんまるろびんの姿は
なんとも清々しく、1キロの違いに一喜一憂している自分が
馬鹿馬鹿しくなってくるのだった。