マイペース異端児で行こう

やっぱりおおかみ
ささき まき
福音館書店 1977-04


by G-Tools
かなり前のことだが、病院の待合室で暇つぶしに眺めていた雑誌に動物占いが載っていた。生年月日だけで占える簡単さに何気なく自分の誕生日を早見表で探して結果を見てみると、あまりにも自分に当てはまっていて愕然とした。ちなみに占いによると私は「オオカミ」であった。

「オオカミ」の基本性格は、自分らしさを大切にし、常に人とは違う生き方を心がけ、周囲の動向に妥協せず何をするにも自己流にこだわり、周りから浮いた存在になろうとも、むしろ変わってるといわれるのが妙に嬉しかったりする・・・・だそうだ。
なんと私はそのまんまやっぱりおおかみであった。
この絵本の主人公のおおかみも、まさしくこの占いでいうオオカミそのもののキャラクターのように描かれていて、自分がなぜ妙にこの絵本とその主人公に共感してしまったのか、変なところで納得してしまった。

ちなみに、今でこそ生まれ持った個性を全うして生きていくことに満足している自分だが、こうして開き直るまでにはそれなりの紆余曲折があった。学生時代など、よく周囲に馴染めない自分を恨めしく思ったものだ。
いまや「出る杭は打たれる」のはコドモ社会でこそシビアな現実だ。みんなと同じでいなきゃ、それだけイジメの対象にされやすくなる。まだ視野も狭く自信のない子どもにとってはそれは死活問題だ。このおおかみは、「け」なんて言って強がっているけど、まだまだ世間知らず・自分知らずのコドモに違いない。だからきっと、一見クールにサラッと表現している以上に必死で仲間を捜しているのだ。その寂しさ、幼い心のこころもとなさは痛いほどよく分かり、ヘタすると目頭が熱くなる。
そうそう、そうやって悩んだよなぁ。さびしくても、やっぱり迎合できなかったんだよな。つまんない奴らと遊ぶために作り笑いするぐらいなら一人が良かったんだよな・・いやー、あの頃はよくブルーハーツを聞いては共感しまくって泣いていたっけ・・・と、孤独で危なっかしくて熱かった若かりし日々を回想するえほんうるふであった(恥)

でも、嬉しいことにこの絵本のおおかみはしっかり成長する。放浪の果てにちゃんと自分の生きる道を見つけ出して、清々しい開き直りの境地に達するのだ。このストーリー展開は何度読んでも気持ちが良く、しみじみと嬉しくなる。また、飛び上がって喜んだり勝ち誇ったりすることなく、「ああ、やっと見えた」というおおかみの静かな自信と安堵感が伝わってくる絵がいい。額に入れて家の壁に飾りたいぐらいだ。

彼が解き放った気球には、属性に依存して生きることへの未練が詰まっていたのではないだろうか。
そうだ、開き直っちまえば、人生楽しいぞ。人付き合いなんて要領でこなせるようになるさ。それより本当に強いのは自分を持っているヤツだってこと、早く気付けよ。広い世界にはお前と同じおおかみだって絶対いるから心配すんな。
もし見つからなかったら、ブログでもやってみろ。
(2005.11.18 一部改訂)